ちょっと公開ーそれでも神は実在するのか?リー・ストロベル著
こんにちは、かすがです。
こちらの本の詳しいレビューがネット上にあんまりなかったので、今回はこの本に関する内容をちょっと公開していこうと思います。
■それでも神は実在するのか?「信仰」を調べたジャーナリストの記録
こちらの記事でも引用しているのですが、
前作の「ナザレのイエスは神の子か?」というのがおもに【聖書の整合性とキリストの復活の信憑性】について書かれた本であったのに対し、今作は「そもそも神がいるのか?」という視点に立たれて書かれています。
前作は、「福音書の基礎知識がある」前提での進められ方だったので、むしろ日本人にはこちらの方がおススメかもしれません。
私もクリスチャンになる前はぼんやり無神論か不可知論者でしたから、神の存在を認める→イエス・キリストの十字架を認めるという順番で信仰に入りました。
これから人に話をするときも、まずこういった順番で離すことを心がけていこうと思っています。
さて、内容の方です。まず冒頭。
前回の著書の調査で、キリスト教信仰を持ったストロベル氏ですが、まだ神への疑問が100%とけたわけではありません。世の中には「神がいるなら、なぜ…」と思えるような事件が多いと感じるからです。
そんな折、ストロベルは「元伝道師で現不可知論者」であるチャールズ・テンプルトン氏のもとを訪ねます。
テンプルトン氏は、北アフリカの女性が干ばつで亡くなった息子を抱いている写真をきっかけに信仰を失いました。
しかし、話を聞くうちにテンプルトン氏はこんなことを言い始めるのです。
「お話しをうかがっていると、イエスのことを心から大切に思っていらっしゃるように聞こえますが」
「確かに・・・・・・イエスは、私の人生のなかで一番大切な人なんだ。私に・・・・・・、私・・・・・・、私は・・・・・・・・・・・・妙に思われるかもしれないが・・・・・・イエスに対しては、敬愛の念を抱いていると言わざるをえない」
「ずいぶん思い入れがおありのようですね」
「確かにそうだ。私が知っている善、品格、清潔は、すべてイエスから学んだものなんだ。ああ、一体・・・・・・イエスとは何者なんだ。イエスは人々を酷評したり、激昂したりする。イエスは腹を立てたことがないと言う人は、聖書をきちんと勉強したことがないんだ。確かにイエスはそうした態度を取ったが、それにはしかるべき理由があった。抑圧され、搾取されていた人々のことを思って怒りを燃やしたんだ」
(中略)
「私にとって、イエスはこの世界の中で一番の大切な存在なんだ」
(一体なんなんだ。なにが起きているんだ・・・・・・)
冒頭のテンプルトン氏へのインタビューは、ここまでです。しかし、神を否みながらイエスの存在に涙するテンプルトン氏の姿を見て、ストロベルは思います。
『テンプルトンのためにも私自身のためにも、答えを見つけなければ・・・・・・。』と。
・・・
・・・・・・どうでしょう?おもしろそうじゃありません???
はい、面白かったです!
■ どんなことについて調査されているのか
前作同様、「ストロベルがピックアップしたギモン」についてインタビューしていくというカタチで進められていきます。
質問は大きく8つ。
・もし神が愛だというのなら、世界はなぜこんなにも多くの困難や悪に苦しまなくてはならないのか
・科学の法則と神の奇跡が矛盾する状況で、理性をもつ人間が、神の奇跡を真実と信じられるはずがない
・神が本当にこの世界を創造したのであれば、導要因のない進化プロセスの存在を証明する科学的証拠が数多く存在するのはなぜか
・神が道徳的純潔を保つ存在なら、なぜ旧約聖書にある、罪のない子どもの虐殺を認めることができるのか
・天国にはいる唯一の手段がイエスというのなら、イエスのことを聞いたこともない何百人という人々はどうなってしまうのか
・神がその創造物である人間を愛しているのなら、神に対する正しい理解がなかったというだけで、なぜ彼らが地獄で永遠に苦しまなければならないのか
・教会の最高監督責任者が神だというのなら、教会が偽善や蛮行の巣窟だったことをどう説明するのか
・私がこのような疑いを抱えたままでクリスチャンでいることは可能なのか
これらをもとに、詳しくインタビューしていきます。
■ 地球の起源についての言及
印象的だったところをちょっと引用しますね。さすがジャーナリストが書いているので、ソースをはっきりさせてくれるのでとても助かりますね。
●恒星は惑星と生命体にとって不可欠であるが、恒星が形成されるには幾つもの条件が満たされている必要があった。宇宙がその条件をすべて満たした状態で発生する確率は、英国の物理学者P・C・W・デイビスによれば十の十垓分の一以下である(※垓は兆の一億倍)
●同じくデイビスの計算では、重力や弱力の度合いが十の百一乗分の一でも変化していたとしたら、生命体の発達は不可能であった。
●宇宙において利用可能なエネルギー量、陽子と中性子の量の差、基本的な自然力の割合、物質の反物質に対する比例等、五十もの定数や量が無限小のレベルに至るまで均整を保っていいなければ、生命体の存在は不可能である。
有名な懐疑主義者のデビッド・ヒュームでさえも『しかし、なんの理由もなしに無から有が発生しうるなどという馬鹿げた主張は、一度もしたことがない』と言っている。
また科学者アーサー・エディントン卿も『超自然的力によって発生したことを認めなめれば、宇宙の起源は克服しようのない問題がついて回ることになる』と言っている。
などなど。「かつては無神論者だった科学者が、調べるうちにキリスト教信仰に入った」という話しも多数あり、心強い限りです。
ロバート・ボイルが言ったように『科学者とは、神の創造物の研究という仕事を与えられた人々であり、よって自らの仕事を通して神の栄光を一番表しているのは科学者にほかならないと信じている』のだと述べている。
という「どこかで聞いたことがあるけど引用元がわからなかった小噺』も、ソースがはっきりしていてありがたい限りです。
■ 一作目に比べて、丸くなった?
一作目のときは完全に無神論だったストロベルですが、今回は『クリスチャン』というスタートです。だから『内容も知らず知らずのうちに丸くなっているのでは・・・』という不安もありました。ですが、読む限りはそういう感じもなく、実に誠実にロジカルにインタビューが進められています。
ただ、いきなりこれを無神論の人が読むと「なんでやねん」と思うのかもしれません。こういうブログもありました。↓↓
神の奇蹟には現実的な解釈もある。例えばモーゼの話については、月の引力の関係で海水面が極端に低くなることがある。この時浅い海底部分が顔を出し、道になったというのだ。処女懐胎についてはこうだ。マリアは神の子を身ごもったというお告げを受けた(そういう夢を見た)。その時マリアはたまたま生理が止まったために妊娠したと思い込んだ。少女の場合、時としてその生理は極めて不安定なのだ。その後彼女はヨゼフと結婚した。結婚後に性交渉が一切なかったとは考えにくい。つまり、彼女が妊娠したのはお告げを受けた時ではなく、もっと後だったというのだ。死んだイエスが生き返った話については、仮死剤を飲まされて意識を失った後、解毒剤で生き返らされたという。(大槻義彦著「神々のトリック」)
と、この本を読んだうえで「イマイチ納得できない」と言い、一作目で明らかにされている部分に対するギモンでブログを〆る、という・・・。
(に、しても大槻義彦著「神々のトリック」とはなかなか適当なことを書いてるものですね。当時の状況とか歴史的背景を踏まえたらこういうことは言えなくなると思うのですが・・・まぁそれもおいおい・・・)
確かにこの方が言うように、究極的には「神を信じるか信じないかは自分次第」なんで(キリスト教信仰ではこれを聖霊のはたらきと言うのですが)、どうしても信じたくない人はこれを読んでも信じれないかと思います。
そういうことも併せて、やはり一作目の「ナザレのイエスは神の子か」も一緒に読むことをおススメします。