キリスト教徒の私とエホバの証人の女性との会話。対話ができない現実に。(2017.12リライト)
こんにちは、かすがです。
四国の小さな寺に生まれ育った末、なんやかんやあってクリスチャンになったアラサーです。既婚。
先日「エホバの証人」の方が家にいらしたので、ちょっとだけお話しをさせていただきました。
日本では「エホバの証人(ものみの塔)=キリスト教」というイメージが強いように思います。
ですが、キリスト教徒の立場から言わせてもらうと「ものみの塔」と「キリスト教」は「違うモノ」であります。もしこれを読んでいる方で「同じだと思ってた」という方がいらっしゃいましたら、「一応別モノ」ということを頭の片隅にでも置いていただけると嬉しいです。
今日は、そんな「似ているようで違う宗教の人の訪問に、私がどう対応して何を思ったか」ということをお話ししたいとおもいます。
よろしければお付き合いください。
■ 「エホバの証人」と「キリスト教」の違いをざっくり
私も以前は『エホバの証人さんもキリスト教も似たような聖書使ってるし、イエス・キリストの名前が出てくるし、イエスのこと褒めてるっぽいし、同じようなものじゃないの?』と考えていました。
違いを知るきっかけになったのは、「FEBC」というキリスト教ラジオの、こんな番組でした。
この番組でエホバの証人脱会者さんの話しを聴き、私は「ものみの塔」という団体が「カルト的な側面を持っている団体」であることと、「キリスト教とは根本的な教義が違う団体」なのだということを認識しました。
ですからこのたび自宅にエホバの証人さんが来たとき、「ヤバいのでは」と思ったのです。
(エホバの証人さんからしてみると、一般的なキリスト教会や通常の聖書は『異端』『間違い』だと強く教えられている・・・・・・と知ったからです)
ですが、FEBCのこのコーナーには
エホバの証人たちは自分たちの信仰が異端だとわかっているわけではありません。彼らは聖書を知りたい、神を知りたいと思っていて、たまたま近づいてきたのがエホバの証人であった、だからその集会に行ったというに過ぎないのです。
ですから私は、彼らは異端者であるというより求道者であると考えて接するほうがよいと思っております。
という記述があったため、「一回『目の前にいるこの人』の話しを聞いてみたいな」とそう思いました。
ですから、上記のガイドラインを適応して、「自分がクリスチャンだと言わず、ものみの塔からマインドコントロールを受けていると感じたことはないか?」という質問を投げかけるところから話しをしてみよう、思ったのでした。
■ エホバの証人さんとの実際のやりとり
ここからは、会話形式でお送りします。いらっしゃったのは50〜60代と思しき女性でした。以前は後ろに20代くらいの女性を連れていらっしゃいましたが、今回はお一人でした。
「こんにちは。先日こちらに投函させていただいていた冊子、読んでいただけましたか?」
「あ、はい。少し読ませていただきました」
「そうですか!でしたら、再来週の予定とか、空いていらっしゃいません?」
「再来週ですか?仕事がありますけど……」
「お仕事お休みのときっていつなんですか?」
「え、と、週2日くらい・・・・・・です、休みは決まってないです」
「そうですか…・・・。実は再来週、神奈川でこういうセミナーがありまして、よければいらっしゃいませんか?」
「あ、いえ・・・・・・仕事がありますので」
「外国から素晴らしい先生がおいでるんですよ…(うんぬんかんぬん)」
「(あれ?このままでは向こうのペースに巻き込まれてしまうのでは……。切り込まねば……!)」
「・・・・・・あの!」
「はい?」
「すみません、ものみの塔さんなんですよね?」
「え?ええ、はい、そうです。私たちのことご存知でいらっしゃるんですね」
「はい、少しだけ……、え、と、お伺いしたいことがあるんです」
「はい?」
「ものみの塔さんから脱会した知人を何人か知っているのですが、そういった方々の話しを聴く機会が今までに何度かありまして……。その、ご自身はものみの塔からマインドコントロールを受けていると感じられたことはありませんか?」
「マインドコントロールですか?」
「いやあ、あはは。そんなの、まったくないですよ。私は自分の意思で学んで、その結果ものみの塔を選んでるんですよ」
「……そうですか……」
……この時点で私が感じたのは、『私は個人的に“自分の信じているモノやコト”を【まったく洗脳ではない】と断言する人との会話は続けられない』という事でした。
私はクリスチャンですが、無宗教の人に「洗脳されてるんでしょ?」と聞かれたら「そういう考え方もあるかもしれない。でもあなたの言う洗脳とはどんなものかをもう少し詳しく聞きたい」と返すと思います。たとえ同じ教会に通うクリスチャンでも、私は「言語が違う」と感じる人とは会話を切り上げるようにしています。
私が「言語が違う」と感じる人は、おもに「一つの言葉に対する認識のすり合わせをしない人」です。
どれほど価値観が違っていても、「コトバの理解」に対する認識のすり合わせができれば、それなりに会話は成り立ちます。ですが今回のこの方は、「マインドコントロール」という言葉が具体的に何を指しているのかどうかということの確認もしないままに「全くない」と言いきってしまえる雑さを持っていると感じました。
こういう方との会話は、私は苦手です。「これ以上はキツいな、やめようかな」と思った矢先、矢継ぎ早にこんなことを言われました。
「世界はね、神さまが創ったんですよ。進化論なんて、実はめちゃくちゃなんですよ」
「(あ、これやめさせてくれないパターンですやん。ってか、何の前触れもなく「世界は神さまが創った」話しになって、それまたさらに「進化論」の話しに飛んじゃうの……?整合性なさすぎない……?せめて「あなたは進化論を信じていますか?」とかの質問からにしてよ……←ツッコミが追い付かないのでノることを決意)……ええ、そうですよね。証明されてないですもんね」
「あらそうですか、そうなんですよ。今学校でも進化論を教えるでしょう?あれはウソなんですよ。」
「(うち同意したのになんで続けてくるん……)」
「でも、世の宗教は進化論なんですね。キリスト教もそうですよ」
「(まだ続けるのん……?人の話し聞かなすぎじゃありません……?って、今なんつった?)私、クリスチャンの友達何人もいますけど、進化論推しばっかじゃないですけど……?」
「え?いや、クリスチャンは進化論ですよ」
「いや、それは間違いです。(全員進化論者というのは)勘違いですね」
「ああ、そうですか。とにかく、今度大会があるのでいらしてください」
「(スルーされてしまったwwww)」
「大会はスケジュールが合わないので行きません。もう1つ質問いいですか?」
「ええ、なんでしょうか?」
「私、旧約聖書読んだことあるんですけど、どうしてものみの塔さんは神さまの名前を『エホバ』としか言わないんですか?」
(この質問は『話しを繋げられないか』と思って聞いたことなので、質問そものもに深い意味は無いです)
「え?いやね、世の中にはいろんな神さまがいるでしょう?神社だったり創価学会だったり、それは実は本当の神さまじゃないんですよ」
「あいや、そうでなくて『旧約聖書の神さま』の話をしてて……。旧約聖書では、『エホバ』という呼び名は使われてないじゃないですか。基本的に神さまの名前は『発音できないもの』として、100歩譲って『YHVH』だったりするじゃないですか、どうして……」
「いえ、聖書の神はエホバです。この世界も太陽も、植物も動物もみんな作られた神がエホバです」
「(質問をわかってくれない……(泣))
「……そうですか」
ラチがあかないので切り上げようとすると、別の場所で会うことを提案されました。とっさに乗ってしまったあたり自分の精神的な未熟さが浮き彫りになっているのですが、「家ではなくて『大通りにあるカフェでなら』」という条件をつけれたことと、向こうの電話番号を聞き出そうとして逆に身構えられてしまったのには『自分もマシになったな』と思えました。
ここまでだと「単に会話が下手な人とのやりとり」に過ぎないと思いますし、これだけでものみの塔さんのことをどうこう言う理由にはならないと思います。ただ、この方のこの不思議なコミュニケーションがものみの塔さんポリシーで強化された方法なんだとすると、怖いことのようにも思います。ただ、それを判断するには私にはまだ材料不足です。
次の日、教会の牧師や先輩にこの話をしてみた記録がこちらになります。ご興味のある方はどうぞです。
▼次の話し
▼次の次の話し
▼次の次の次の話し
▼さいごの話し
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このブログをたくさんの方々読んでくださっている間に、ある漫画がSNSで話題になりました。
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漫画中では明言されていませんが、どなたもおそらく「これはエホバの証人のことだろうな」と思いながら読まれていると思います。
エホバの証人が問題視される理由は、厳しいしつけや子どもへの精神的束縛などに見える社会的カルト性にもある……ということを「また聞き」認識していた身としては、当事者の方の発信が増えることは良いことだと感じました。
私はクリスチャンなので、どうしても「教理の大事なとこが違ってる」ということに目がいってしまいます。ですが、それを置いて「人間としての苦しみ」という点のみに注目したとしても、エホバの証人さん(こういった苦しみを生み出しやすいものみの塔の組織システム)を肯定することはできないと感じさせられます。
こういったものに触れて、「自分の望まない選択をさせられてしんどい思いする」方が減ればいいなと願います。
『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』
— かずと (@shibainukazu) 2017年12月30日
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